西の点

イベントが終わり地下から二枚のドアを開け通りへ出ると東の空はすでに白く僕の息も白い。ファミレスで軽く朝食を食べ目黒から東京駅へ向かいそのまま新幹線に飛び乗りタバコに火をつけて煙を西の方向へと吐き出す。車窓から見える空はビルや山や住宅に縁取られた青色の平面になっていた。そして僕を乗せた新幹線は標高3775mのオバQを軸に弧を描きスピードを上げていく。
不動前のドアを開けてから3時間後、東京の西のある地方都市のある駅前に立っていた。ロータリーにタクシーが数台停まっている。そこへ車で迎えにきてもらいその街を縦断する4車線の道路を北へ向かう。典型的なロードサイドッショップが軒を連ね駐車場が多いせいか密度がとても低く空がでかい。あまりのスムーズな移動で全く東京から離れた気がしない。町田とか埼玉に来たんだと思い込んでしまえばそれが本当のことになってしまうぐらいの現実感。車を降り目的の点へ到着。本当に点だ。頭のなかに日本地図が思い浮かぶ。あと十数時間後には家に着いていることが分かっている。足が浮いたような感覚。