ゼミ旅行

ゼミ旅行。1日目。

朝早く起きて、学校へ。7時20分学校。
学校のマイクロバスを借りての旅行。白い息が出る。コンビニで朝食を買い、人数を数えて出発。先生、バスの運転手さんも含めて総勢15人。渋滞に巻き込まれることもなくすんなり中国道へ。やっとくつろぐ。靴を脱いで上着を脱いで、烏龍茶をゴクリと飲んで外を見た。ちょうど宝塚I.Cを通るところで、山にへばりついた住宅地が見える。そこが実は僕の家のあるところ。阪神間のエッジでもある。
そこを一気に通り越して巨大な集合住宅群と里山の風景を同時に見つつ田園風景へと突入する。その辺りで皆でトランプの大富豪を始める。バブル、大恐慌を何度か経験しているうちに気が付けば岡山。SAで休憩。巨大な桃太郎の前で犬・猿・雉以外の家来を演じてパチリ。
その後も一気に進んで広島到着。路面電車のある街。密度感が微妙。平和大通りのデカさ。日本の地方都市とは概してこのような雰囲気をもっているのであろう、仙台や高知にも見える。

まず、広島現代美術館でやってるダニエルリベスキンド展へ。4つの作品の模型。デカイ。壁床に描かれたドローイングと真っ白なデカい模型。
下足して入場することもあり、なんか変な感覚。寝転がったりしてアイレベルで見てみる。飛び出しすぎ。



その後、山本理顕の消防署へ。川を横断しまくって到着。中へ入る。10月中旬の空気がスカスカのルーバーから入り込んでくる。マンションの非常階段でたむろしている時の感じ。で、高密度アトリウムへ。上には綱渡り用のロープが、横にはガラス張りの事務室・図書室・会議室などが、下にはチアガール(?)が何か練習してる風景が、一気に見渡せる。すごい。
上へ上へ登り、最上階の一角にある休憩ベンチで消防署の中で一服というなかなか珍しい体験までしてお腹いっぱい。

そして、ピースセンターへ。軸線上に原爆ドーム・祈念碑・丹下ピロティーが並び、壮観。打ち放しコンクリートが木目になっていて近くで見ると、まるで木造のよう。新しい棟はウムム。



最後に原広司の基町高校へ。受付で「14人です」というとかなりムッとされたが無事、潜入成功。エスカレーターで一気に4階へ。ドドーンと広がる吹き抜けを自分の母校と比較して羨みつつめぐる。ちょうど放課後の掃除の時間。埃が舞い、そのニオイが僕に高校時代の雰囲気を思い出させる。ヤバイ。美術棟へブリッジをつかって渡る。
左には大高正人の基町集合住宅が聳え立っている。遠くにブラスバンド部の音が聞こえ、複雑な動線をかいくぐって、その練習現場である体育館へ潜入。ウーむ。センチメンタル。掲示板にも書いたけども、リノベーションなどによる用途転用に似た、ビルディングタイプのずらし方。「高校」を目的として建てたとは到底思えず、でも、それはそれで一種の痛快さを感じさせたのでした。




とうとう、宿へ。まず皆の部屋割りを決めて、各自部屋へ。ビジネスホテルだったため、ツイン5部屋シングル5部屋という構成。僕はツイン。飯食いに行こうと言って、6人で夜の広島へ。ヒンヤリとした風が吹いてて、ぼんやりと遠くのネオンを見ながら歩く。「明るそう」とか「栄えてそう」とか曖昧な決め方で歩く。埒が明かない、ということでパルコの前の本屋で広島焼きの店を検索。ここがよさそうだよ、と誰かが言って他の5人も頷く。地図を頭に入れ、到着。客はいない。ウーン、なんか寂れてない?ということで、他の店にすることに。ちょっと戻って、雑居ビルの2階にある店に入る。皆はビール、僕だけ烏龍茶。ねぎたっぷりのヤツを頼むことに。出てきた。熱い。マヨネーズをグリグリかける。うまい。胃の内部空間が膨張して弾け出しそうになる一歩手前で、店をでることに。さあ、これからどうしよう、と言って、ボーリングしようかと勝手に盛り上がる。学生2ゲーム¥800。安いし、やろうといって本当にボーリングを始める。久しぶりだ。なぜか調子よくて、ストライクとかスペアとか華やかな感じでゲームが進む。1ゲーム目2位。140ぐらい。2ゲーム目最下位。85ぐらい。なんなんだこの差は。筋肉痛と腱鞘炎をつれてホテルへ帰る。さすがに眠くて、風呂入って寝る。



2日目。


朝早く起床。今日は移動が多いなぁと頭でぼんやりと考えながら歯を磨く。集合・人数確認・出発。朝、宮島へ。船のデッキ、潮のニオイが充満。10分ぐらいで到着。いきなり鹿が出迎え。




まず、厳島神社の横にある、千畳閣へ。板張りの薄暗い空間に太めの柱がグリッド状に並ぶ。座ってみる。内部が暗い分、外の緑が切り取られて飛び込んでくる。上を見る。架構がすごい精度。で、厳島神社。小学校の修学旅行で来た以来。既視感がありすぎてどうも普通にみることは出来ないけど、よくよく考えると、海の上で潮の満ち干きを使って場の雰囲気を変えるだなんてまるで現代建築のよう。数日前に突風で屋根が飛んで修復していたけど、昔から修復はスゴイ頻度で繰り返されてきたのだろし、伊勢神宮もそうだけどその仮設性を前提とした作り方ってのは、寺社建築が持つルーズさとあいまって、軽い印象を与えている。




宮島を後にし、しまなみ海道を通って、隈研吾の亀老山展望台へ。少々荒れてはいるが、景色はいい。山頂が平らだったので、盛土して山を復活させるという土木作業。メンテナンスをちゃんとしてれば、よかったのに。もちろん、映像関係はすべて作動してない。巨大蜘蛛いすぎ。




それからバスへ戻ると、急に目の前がゆがんできて、ふっと意識が飛ぶ。どうやら眠ってしまったようで、気が付くと西条市にバスは入っていた。先生と運転手さんがなにやら喋っている。どうも、ちょっと迷ったようで、僕も参加して安藤忠雄ルーバー寺を目指す。あ、一本曲がるの間違えたんだ、と言って無事到着。「ちょっと刈谷君、バスどこに駐車していいか聞いてくれるかな」と先生が言ったので、フライングして中に入る。思っていたよりもデカイ。受付で住職さんにお願いして、皆を中に誘導する。いや、イイ。夕日をあびた本堂の陰影が深い。水の音。忠雄はやはり巧い。本堂へ入る。16本の集成材に支えられた空間。回廊をクッションにして畳敷きの部屋がある。隣接するコンクリートの棟も思っていたよりもずっといい。礼拝堂と名付けられた部屋に西日が差し込んでいる。周辺を散策して、バスへ帰ろうとすると、隣に変な体育館が見える。ついでに、と行ってみると坂倉準三の西条市体育館だった。廃墟と化していたが、造形力のパワーはなかなか伝わってきた。


バスに乗り、宿泊地である丸亀市へと向かう。瀬戸内海を眺めながら眠りに付くと既にホテル周辺へと着いていた。到着。またもやバスの置き場にてこずったが、無事部屋へ。和室だ。疲れたー、と言って寝転がって伸びをして、総勢15名で焼き鳥飲み屋へ。上座に陣取り、僕だけ烏龍茶で乾杯。飯が来た。焼き鳥、といっても骨付きのごっついチキン。旨い。食いまくって、飲みまくって(烏龍茶)、お会計。¥4000。えっ。やばい、高い。財布スカスカ。あー。まぁ、でも旨かったけど。部屋に帰って大富豪の続き。展望浴場などに入りつつ、疲れて就寝。


3日目。



朝から丸亀駅前の谷口吉生の猪熊美術館へ。10時開館ということで周辺から外観を見る。駅前広場と美術館の前庭が一体化していて西洋的公共性は獲得している(ちょっと皮肉)。開館し、中へと入る。白い。猪熊弦一郎の初期の絵から、ちょうど企画展として後期の絵まで網羅していたので、内容としては面白かった。「地図でない地図」と題された企画展は都市計画的視点によって抽象的なオブジェクトが配された都市を、断面図・鳥瞰図で描いた作品群。併設された図書館もなかなか良さそう。


バスに乗り込み、地道で坂出市へ。瀬戸大橋が繋がる工業都市大高正人の坂出人工土地へ。九龍城のような継ぎ足し感。パーキングが人工大地のピロティー下に入り込みそこへ上部の樹木の根の部分が突き抜けてたり、また、雛壇状の集合住宅の下はじつはホールであったり、奇想天外。老朽化が進み、半廃墟化しているけども、立体的構成の面白さは抜群。巨大な人工大地の上に、パリのラ・デファンスのように超高層が載っているのではなく、ヒューマンスケールな団地が載っているところがなかなかカワイイ。

その後、高松の丹下健三香川県庁舎へ。モダーンだ。よくメンテナンスがされ高感度アップ。土曜日なので中に入ることは出来なかったが、ピロティーランドスケープの関係がとてもよかった。新館はフツー。

そして、旅の最後に、牟礼にあるイサム・ノグチのアトリエへ。石工場が周りにたくさんあって、石の町という感じがする。キィーンと石を切る高い音が聞こえる中、到着。受付け棟ではがきを渡し、案内人付きの一時間ツアー。「ニューヨークのほうに著作権があるから写真ダメ。」と言われた。むむむ。石・建物・花・植物、ランドスケープ全ての関係が絶妙によかった。巨大な円形の石積み擁壁。散在する未完成の彫刻。蔵の中の巨大な彫刻。かの有名な"あかり"。自分で盛ったという山。す戮董△海海砲△襪燭瓩紡減澆靴討い襪?里茲Δ福△燭燭困泙ぁ


¥2000は高かったけど、感動して帰路へつく。淡路島を通り、明石海峡を渡り、とうとう大阪へ。学校にて解散。帰りの阪急電車からの車窓がいつもより綺麗に見えた。