コーヒーとお茶と印鑑

事務所を出てタクシーを捕まえる。午後4時半。「ものを作る責任は結局一人で背負わなければならない」と先々週の土曜日ある人に言われたフレーズがなぜかずっと頭の中を転がっている。六本木通りを東進し外苑東通りに入った頃にはすっかり道は車でいっぱいになっていた。確かに僕の名前ではない印鑑を図面に押してもらいそれを正副2部作成してそれを鞄に大事に入れて抱えているが、その図面の細部に描かれている線と言葉の責任の所在は僕にある。雨が降ったりやんだりで空はどんよりしてはいるが空気はクリアで遠くのビルまで綺麗に見える。信濃町に到着して民間の確認機関へと走り込む。午後5時。ギリギリ。先週ぐらいまでグニャグニャと形を変えてきたRCの塊が社会にねじ込まれる。不思議な感覚。建築って不思議。コーヒーとお茶を飲みながら少しの訂正をして終了。