ある住宅の写真を撮りにいった土曜日の朝、昼に新幹線の乗らなきゃなのでいけないわとボスからの電話。仰角に注意しなよ、と言い残して。確かに建築写真のセオリーとして垂直線というものがある。ある空間をある意味で建築たらしめる為に非常に重要な撮影の心がけである。ファインダーをのぞくと補助線がありそれを執拗に追いかける。追いかける。数ミリの調整。息を止める。

山の上の


中沢新一のアースダイバーに描かれている縄文の東京マップは自転車に乗っていれば何となく分かっていることの確認としてとても興味深い。本当に皺のよっている東京山手線内側は未だに知らない山とか丘とか谷とか沢がある。例えば大規模開発される東京のある場所で以前あった建物が撤去されて地形が剥き出しになった状態はまるで郊外の宅地開発のようだとはもはや使い古された形容だけど、まさにそのようなのだからしかたない。

しあわせ

同僚のPが結婚した。といってももう既に入籍はしていたので式を。彼はその式に備えて本を作ったのだがそれを今日初めて見た。時間軸にそって生い立ちを紹介していくという構成。彼と彼女は中高の同級生なので思い出写真が共通のものがある。付き合ったのは上京してからなので、その中高の写真はたまたま一緒に写っているとかそういうもの。でも彼女のほうはずっと好意を持っていたというから同じような写真でも「彼」の生い立ちの章の写真Aと「彼女」の生い立ちの章の写真A'では見え方が違う。彼と彼女は時間軸に絡み付くように2つのサインカーブを描きその接点において一緒に写った写真があるのだけどその両方のカーブの状態を神の視点で俯瞰できる小冊子はとても甘酸っぱく幸せなものでした。

自転車

真夜中に環七を北上したり南下したりする機会が増えたのは甲州街道から少し北へ商店街を抜けるとあるTの部屋へ行くようになったからだ。コンクリートむき出しの部屋の内側にはごろんとソファーベットが置かれている。Tは無類の映画好きでビデオテープが五列胸の高さまで積み上げてある。だからよく映画の話をするようになった。僕は映画はあまり見ないほうだけどTがあまりに面白そうに語るのでいくらか映画を覚えた。ホワイトのバランスが絶妙だとかこのカットの後の数秒でその空間のほとんどの情報が把握できてしまうとか映像のデザインについても考える事が多くなった。僕が今やっている本の設計もどこか映画のような部分があるので参考にさせてもらっている。

booook

あるきっかけで、簡単な本を作ることになった。表紙はスチレンボード(t=3mm)に白の布テープ。
というのも、未発表作品を集めたものだし、あるところに送ることが目的だったため。模型みたいに梱包されている。分厚いのに軽い。


ボン


土曜日、朝、京王府中駅。初めておりる駅だ。なかなかでかい。府中の競馬場が近くにあるらしく、おじさん達がスポーツ新聞を片手にタバコを吸っている。僕の地元にも大きな競馬場があるので、この郊外のユルい街の祭事的な盛上りが場違いな感じはなんとなくつかめる。ユーミンの中央フリーウェイが頭の中で流れる。駅前の日産レンタカーで八人乗りの車に一人乗り込む。音楽をセットして走り出す。窓を開ける。曇り空の湿っぽい空気がエアコンの空気と混ざって気持ちいい。木村カエラのWhatever are you looking for?が流れ出す。相当気持ちいい。駅前から北へと続く並木道を走り、すぐに国分寺に到着。Yさんを乗せ、0101の駐車場にとめて他の皆を待つ。合流して中央道へと向かう。道は順調だ。ググッとスピードをあげて関東平野から離脱する。山の天気と女心は変わりやすいとはよく言ったもんで、曇天から雷雨へとかわる。

スコールのような雨の中、河口湖ICを降り、富士の裾野を登っていく。森の中に入ると雨はやんでいた。ゴルフ場の脇を通り抜け目的のSuperOSの別荘に到着。でかい。長い。黒い。緑眩しい森の中にモノリスが横たわっている。しかもすこし浮いている。モノリスの下に溶岩が転がっている。手摺やら階段が上のボリュームからぶら下がっていたり下から突き出していたりで重力がよくわからないエントランスからまるでETのラストみたいな感じで宇宙船にアプローチする。上はデッキを挟んで同じ大きさの室が3つとリビングルームがある。モノリスみたいだと思っていたボリュームは実はRCの人工地盤の上に木造の建物が載っているそうだ。小1時間ほどお邪魔した後、隣の山中湖にS先生のT小屋があるというので見に行こうとするが、酷い渋滞に捕まる。裏道を検索しやっと到着したところでまたもやスコール。ついでに雷がガンガン落ちる。山中湖のスワンボートが驚いて飛び立ってしまいそうだ。

車をおりて、すぐに京王線に乗り込む。21:00。新宿でMuとYaとKuと合流。呑み屋で隣の席に明らかに10代後半の面々がワイワイ。僕らとその若者たちを若者たらしめている決定的な表面的な差異を見つける事ができなかったけど、やっぱり歳をとったのかな。烏龍茶がすすむ。24:00。MC漢主催のフリースタイルmicバトルにいく。9割男の暑苦しいイベント。あまり期待せずに行った事もあり、鳥肌立ちっぱなしの展開に、もうクラクラ。30秒の中に奇跡的な韻と奇跡的な観客との一体感。時間もどんどんおして、気がつけば7:00。

日曜の昼に起きて、部屋を片付ける。幅木を拭いてみたり、長押の上の埃を落としたり、かなりのフェティシストぶりを発揮する。と、そのとき携帯がなり、LeとMaとで世田谷南部建築思いつきツアーを敢行することに。着替えて自転車にまたがり、The NonceのJ to the Iで出発。環八を西進。上野毛18:30。日が暮れかけている世田谷は鼻から入って後頭部から出ていくような緑の風が吹いていて、気持ちよい。宮脇壇のぶるぅぼっくすにはじまり、青木淳のOを見た頃、Ymが新横浜に上京。自由が丘のインド料理屋で乾杯+ナン食べ過ぎ。その後karaoke。24:00。1:00、Rと合流。ラーメンズのSTUDYを見ながら、深く眠る。

48時間遊び倒しの土日。